ある日、町を歩いていると
音がする。

たのしい音で かなしい音で やさしい音で

音のほうに 角を曲がる、姿はなくて
もう一度 曲がる、近付く音
もうひとつ先の角・・・


手回しオルガンは
百年より二百年よりもっと昔
おじいさんのおじいさんのおじいさんのころから
ヨーロッパの街角に音を運んできた楽器です。

この楽器は
手回しオルガンの中にたくさん並んだ
笛によって奏でられます。

木の笛の音は、季節、湿度でその音を変え
道の音は、道を作っている物、建物を作っている物で
その響きが変わります。

土の道、石畳の道、
木の家、アスファルトのビル、

町によって、風によって、
時によって、聴く人と弾く人によって
さまざまに聴こえる手回しオルガンの音色です。


いつかどこかで お会いできたら